ワイン発祥の地とイスラエルの土着品種

プサゴットの古代貯蔵所

プサゴット・ワイナリーの古代醸造所跡




メソポタミア文明

ワイン発祥の地は、以下の3つの湖及び海を結んだ三角形のエリアと言われています。ここはメソポタミア文明が栄えた地域ですね。
 ● イランの北にあるカスピ海
 ● 西にある隣の国のトルコの北にある黒海
 ● 南に下がってくるとシリア/レバノンの南にイスラエルが
   あり、そのイスラエルの北部にあるガリラヤ湖

     メソポタミア

出展:『ブナ林と古代史』梅原 猛


現在のイスラエルがある地域もその一角を占めていて、5000年前からワインが造られていた記録が残っていますし、古くは多種多様な葡萄品種が造られていたことが知られています。
ローマ時代には盛んにワインをローマへ納めていたそうです。
その後400年に渡ってオスマン帝国に支配されていた時期があり、
(イスラム教による支配は、古くは600年代から始まりますから、その期間は約1,200年に渡ります。)
この間にイスラエルの地は荒れ果てた地域となり、ワイン造りもすっかり寂れ、多くの土着の葡萄品種が途絶えてしまったようです。


イスラエル土着品種復活の動き

このイスラエル土着の葡萄品種に注目する人たちがいまして、彼らによって次々と生き存えた土着品種が明らかになってきています。
しかも、これらの葡萄を使ったワイン造りまでも行われ始めているんです。
ちなみに現在明らかになっている土着品種としては、
白葡萄:Hallili, Sallati, Marawi, Sharwishi, Dabuki, Jandali,
  Halbani, Romi, Hadari, Hamdani
赤葡萄:Zeitani, Singeli, Karkashani, Razaki, Shemi, Karashi
(出典:A HISTORY OF GRAPES IN ISRAEL 1848 ? 2008
  By Amos Ravid, Wine Education Manager of Carmel Winery)
などが上げられていますが、どれも聞いたことのない名前ばかりですね。

そしてレカナッティ・ワイナリーでは、上述の白葡萄の3番目に上げられているマラウィ(Marawi)種を使って、実際に白ワインが作られているそうですよ。



イスラエルの特色あるワイン造りを目指して...

この活動の趣旨は、古代へのロマンもありますが、土着品種による他の国のワインとの差別化にあるようです。
アルゼンチンと言えばマルベック、オーストラリアではシラーズ...等々の評価が定着していて、イスラエルもこのような品種を持ちたいという事なのでしょう。

このイスラエル土着品種に関わる活動はずいぶん活発になっているようです。
尤も生産量はとても少なく、レカナッティの場合、マラウィの生産量は年間 2,500本程度だそうですから、飲む機会に出会うのはそう簡単ではありません。



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