イスラエルのワイン造り近代化当初から導入された品種
〜カベルネ・フラン〜
Carmel winery
イスラエルにおける近代のワイン造りが、1880年代にシャトー・ラフィットのエドモン・ド・ロス チャイルド男爵による投資から始まったことは以前にも触れましたが、この時期に、かのシャトー・ラフィットより持ち込まれましたのがカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、マルベックの3種類。
カベルネ・フランは、イスラエルの近代ワイン造りが始まった当初より持ち込まれた品種と言う事になりますが、その後あまり関心を集めることは無く(当時の需要とは合わなかったんですね)、本格的に注目を浴びるようになったのはごく最近の10年ほど前の事、2,000年代に入ってからのようです。
この時に中核となったプレイヤーがカーメル、マルガリット、ヴィトキンの3ワイナリー。
ヴィトキンは当ショップでも紹介していましたが、イスラエルの先駆的なワイン造りの活動にはいつも名前が出てきます。実は『あまり知られていない品種から良いワインを作りだすスペシャリスト』として有名なワイナリーでもあるんです。
カベルネ・フランに向いた気候風土
さてこのカベルネ・フランは冷涼な気候が向いていて、イスラエルでは上ガリラヤ地方が栽培に良いと言われていますが、他にもカルメル山の南やジュデアン・ヒルズ地域がカベルネ・フランの名醸地として名を連ねています。
これらの土地で収穫されたブドウからはミディアムボディ〜フルボディの味わいの、バランスの取れた酸味とハーブの香りに優れたカベルネ・フランが作られると高い評価を受けていますが、先駆者達の果敢な挑戦を通して成し遂げられた評価とも言う事ができます。
参考:Wineisrael.com「 ISRAEL’S GRAPE VARIETIES」
Winetalk.com 「The rise of Med blends」
自然派志向のワイン造りから生まれたエレガントなマルベック
さて、ここで取り上げていますのはティシュビ・エステートのマルベック2012。
ハイファのギヴァト・アダ地区にあるブドウ園で造られたシングル・ヴィンヤードのワインで、2週間の醸しを経て最初の圧搾で絞られた高品質ジュースが使われ、12ヶ月間のオーク樽熟成を経てノンフィルターで瓶詰めされています。
上述の如くマルベックは当初よりイスラエルに持ち込まれていた訳ですが、ティシュビ・ワイナリーと言いますのは、まさにロスチャイルド男爵がイスラエルでワイン造りを始めたときに、男爵に請われてブドウ造りを始めたワイナリーなんですね。
このマルベックの中にも、そのときからの歴史が息づいているといえるでしょう。
2019年に開けたときの話になりますが...
色は濃い赤紫色をしていて、ブラックベリーやブルーベリーの香りに完熟感漂うプラムや干しぶどうのほんのりとした甘さ、タバコ香、あるいはカカオの香りが入り交じった、特色ある濃密な香りが漂います。
フルボディの重厚感が漂ようものの決して重た過ぎることはなく、バランスの良い、深みのある、穏やかで優しい味わいが実に良いですね。これに後から柔らかなタンニンの刺激が優しくまとわりつきます。
繊細で品の良い味わい
十分なふくよかさ、厚みを感じさせながらもジャミーとも表現されるような濃密感とは一線を画し、優しく落ち着いた、しっとりとした雰囲気が品の良さを醸し出していて、日本人の繊細な感性にとても良く合う個性豊かなマルベックです。
ノンフィルターで造られていて、自然派志向のティシュビの実力を遺憾なく発揮する赤ワインの1本と言えるでしょう。
イスラエルのカベルネ・フラン
イスラエルでは多くのワイナリーがカベルネ・フランを生産していまして、かつ高い評価を勝ち得ています。
将来はイスラエルを代表するワイン品種の一つになると期待されているカベルネ・フランであり、イスラエルの土壌に合うと、広く認識されているようです。
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