プサゴット・ワイナリー
( Psagot winery )
プサゴット・ワイナリー( Psagot winery)は、エルサレムから北へ25kmほどのジュディアンヒルズと呼ばれる地域にある丘陵地帯の頂きに位置する「プサゴット地区」にあります。Psagot(プサゴット)とは“山の頂き”と言う意味です。
プサゴットのワインは年々評価が高まる一方で、2,000本から始まったワイン造りも今では年間30万本を超えるまでに成長し、最も成長著しいワイナリーとして注目を浴びています。
ワイナリーは1998年に創設されましたが、畑に最初の葡萄の木を植えたときに、近くに古代の洞窟が発見されまして、発掘の結果、この洞窟が造られたのはエルサレムの神殿の丘に建てられた第二神殿の時代にまで遡ることが分かります(紀元前516〜紀元後70)。2,000年以上も前の古代のワイン圧搾施設も残っていて、西暦86年頃のコインやオリーブの圧搾道具なども見つかります。
創業者であるヤーコブ・ベルグ氏はこのことに深く触発され、この地でのワイン造りの歴史の復活を強く意識するようになったそうです。
洞穴内は自然のままで湿度90%に保たれ、気温は冬で約12℃、夏でも18℃を超えることはないそうで、現在もワインのオーク樽貯蔵施設として使われていて、隣に並ぶ最新鋭設備と共にプサゴットのワイン造りに活躍しています。また幾つかのボトル表面には発見された古代のコインのレプリカが装飾されていますが、このコインも古代の洞穴の中から当時のワインやオリーブの圧搾道具と共に見つかったものの一つで、重厚な趣を醸し出しています。
プサゴットのワイン造り
イスラエルのような暑い地域では、アロマや風味よりも糖分が早いペースで増えるため、葡萄が十分に熟すまで待っていると糖分が多すぎる状態となり、アルコール度の高いワインが出来上がります。
より痩せた土壌や岩盤状の石灰岩のところではこの熟成プロセスがよりゆっくりと進むことから、アロマや風味が熟成のペースに合い、糖分とのバランスも良くなることが知られていて、こんな背景もあって、プサゴットでは豊かな土壌が広がる谷間ではなく、丘陵地帯の頂上近くを葡萄畑に選ぶ事が多くなっているのです。
また葡萄をいつ収穫するかがとても大事な要素であり、プサゴットでは同じ畑でも全ての葡萄を一辺に収穫することは無く、複数回に分けて収穫するようにしています。早摘みの葡萄と遅摘みの葡萄の持つ様々な状態の葡萄を巧みに組み合わせることにより、豊かでバランスのよい、ワインが造りだされています。
他にも様々な要素が試みられていて、低温発酵が採用されたり、タンニンの抽出やマセレーションは比較的短期間で終わらせたり、あるいはワインによりますが樽の熟成期間を徐々に短くしたりする事などが行われています。そしてこのような緻密なワイン造りと、プサゴットが位置する、銘醸地として知られるジュディアンヒルズの持つワイン造りに向いた土地柄と歴史と伝統が融合して、エレガントなワイン造りに成功しているのです。
イスラエルにはマイクロクライメイトとも呼ばれる、様々な気候と土壌があることが特徴の1つでもあり、これらの特徴を活かし、イスラエル各地から葡萄を集めてより複雑味豊かなワインを造る方法も他のワイナリーでは採用されています。
一方、プサゴットでは、最初に洞窟と出会った時から、このジュディアンヒルズの歴史あるワイン造りの復活を大切な目標の一つとして掲げ、ワイナリーが所有するジュディアンヒルズのテロワールに集中し、ここから理想とする素晴らしいワインを造ることに注力しています。
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